モーツァルト ヴァイオリンソナタ チクルス [器楽曲]

昨日の帰宅中にボクが持っているモーツァルトのヴァイオリンソナタの全CDを聴き終えた。

全CDといってもモーツァルトのヴァイオリンソナタ全40曲ではなく、15曲の選集で、いわば「ベスト盤」とでも言おうか。
まず分売で購入していたツィンマーマン(Vn)&ロンクィッヒ(pf)の選集4枚組。後に発売された5枚組セット物では小品集も追加されているのであるが、いまさら4枚ダブって買うのはもったいない。

 CD1 #35 K.379、#40 K.454、#42 K.526
 CD2 #30 K.306、#26 K.302、#24 K.296、#33 K.377
 CD3 #29 K.305、#32 K.376、#34 K.378、#36 K.380
 CD4 #25 K.301、#27 K.303、#28 K.304、#41 K.481

ほかに、フランチェスカッティ(Vn)&カザドシュ(pf)のライブ盤より
 #24 K.296

グリュミオー(Vn)&ハスキル(pf)の名盤
 #26?(34) K.378、#21?(28) K.304、#24?(32) K.376、#18?(25) K.301

も併せて聴いた。
グリュミオー番は旧番号をふっているのでケッヘル番号を見ないとややこしい。

ツィンマーマンのモーツァルトは若々しい爽やかでハッキリした演奏で、ロンクィッヒのピアノもコロコロしていて心地よい。
ツィンマーマンが「楷書」とすれば、グリュミオーは「行書」のような演奏である。流麗でロマンティックな演奏である。
ボクは聴いたことはないが、ティボーやフェラスあたりだったら「草書」のようなモーツァルトを弾くだろうか。古楽器ピリオド奏法のモーツァルトは「隷書」かもしれない。
フランチェスカッティのライブ盤は録音が悪くて聴きづらいが、あまり崩さずにカッチリと弾きながらも、色気を感じさせる演奏である。

モーツァルトのヴァイオリン・ソナタはいい曲がたくさんあるが、特に好きなのはK.304 ホ短調である。
2つの楽章だけで十分に完成度の高い曲だと思う。
1楽章は凛とした厳しさと哀しさがあり、ト短調交響曲(40番)の1楽章にも通じるようなものがある。
2楽章は、とても切なく美しい。ボクは始めのピアノソロを聴いたときからウルウルしてきて、ヴァイオリンの旋律が始まると涙を抑えきれないくらいの気持ちになる。それでも最後には厳しく強く締めくくるのである。もうこの2楽章の後には何も要らないと思う。
モーツァルトはいくつもすばらしい曲を書いているが、そのなかでもK.304は小粒ながらピリリと輝く宝石のような音楽である。


ヴァイオリンソナタK.304にまつわる思い出がある。

ボクが社会人になりたての頃、半年くらい京都市交響楽団のビオラ奏者だった吉田實先生のヴァイオリンレッスンに通った。
最初はグノー「アヴェ・マリア」、グルック「メロディー」、ヘンデルのソナタ3番などを習ったが、次はモーツァルトのソナタK.304と言われて楽譜のコピーを渡された。ところが、これからというとき突然、東京転勤になってしまい、吉田先生のレッスンを受けられなくなった。
今にして吉田先生のモーツァルトのレッスンを受けておきたかったとつくづく思う。
吉田先生にはしっかりと太い音を出すように指導されていた。
ボクのボウイングは筋がいいと褒めていただき、自信をつけてくださった。
オケで弾くと演奏が荒れるからオケ活動は控えるように言われて、当時先生が主催されていた弦楽合奏を勧められたこともあった。
先生のお宅でレッスンの後にお酒を出されて、シェリングのモーツァルトのレコードを聴いたり、音楽談義に耽ったりした。
吉田先生の師匠は、フランコ・ベルギー派の指導者マルシックのお弟子さんだったと聞いた。ティボーもマルシックの弟子だったので、ボクもティボーとつながっているんだと勝手に思い込んだりして喜んでいた。
とても楽しかったヴァイオリンレッスンの思い出である。

ヴァイオリンソナタK.304は後に2楽章だけピアノ伴奏で弾く機会があった。
思い入れの強い曲だけに力んでしまって、美しいメロディーの音を外してボロボロになってしまった。
吉田先生のレッスンを受けていれば、もう少しマシに弾けただろうなと思った。
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松本ポン太

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by 松本ポン太 (2010-06-26 08:38) 

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