フォーレ 歌曲全曲チクルス [声楽曲]

今日は体調が悪くて休んだが、整体院に行くまでの時間に眠れなくて、布団の中でシュターデの「美しすぎる」フォーレを聴いて、ボクのフォーレ歌曲全集チクルスは完結した。

今回のチクルスは

(1)エリー・アメリング(ソプラノ)、ジュラール・スゼー(バリトン)、ダルトン・ボールドウィン(ピアノ) 
「フォーレ:歌曲全集」(4枚組)

(2)バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ)、ミシェル・ダルベルト(ピアノ) 
「フォーレ/歌曲集」

(3)ナタリー・シュトゥッツマン(コントラルト)、カトリーヌ・コラール(ピアノ) 
「夢のあとで~フォーレ歌曲集」

(4)BRILLIANT盤 "Faure CHMBER MUSIC"(室内楽全集)よりサラ・ウォーカー(ソプラノ)、ナッシュ・アンサンブル
「優しい歌」(室内楽伴奏版)

(5)フレデリカ・フォン・シュターデ(メゾソプラノ)、ジャン・フィリップ・コラール(ピアノ) 
「フォーレ/月の光[歌曲集]」


である。


(1)アメリングとスゼーの全集は今まで通して聴く機会がなかった。
スゼーのリサイタルは83年頃、大阪シンフォニーホールに聴きに行ったことがある。
フォーレやプーランクなどフランス歌曲とシューマンの選曲だったと思う。スゼーは「美しき水車小屋の娘」のLPを愛聴していたうえに、フォーレを聴けるというので行ったのだと思う。
とても温和な歌唱でフォーレはよかったが、当時のボクにはおどけた曲調のプーランクはよくわからなかったくらいに記憶している。
スゼーは声を張り上げるタイプではなく、さらっと軽く流して歌っているようなところが少々淡白ではあるが、フォーレの強く自己主張しない音楽にはマッチしていていて気楽に聴ける。
「優しい歌」などはパンゼラほどの柔らかさはないにしてもとうとうとした味わいがある。
アメリングは昔は「オバハン臭い」くらいに思っていたが、これはルックスから抱いた先入観だとわかった。
軽くきめ細やかで清涼な歌声で、安定していて聴きやすかった。
もっとアメリングを聴いてみたいと思った。
ドビュッシーの歌曲全集もアメリング、スゼーにシュターデが加わったCDを持っていて、あまり聴いていなかったので、近々聴いてみようと思う。

(2)ヘンドリックスは黒人霊歌集やガーシュウィンやモーツァルトで気に入っていて、フォーレのCDも買っていた。ボクはヘンドリックスの歌声は繊細で透明感があって好きなのだが、フォーレはいただけない。
抑えて歌っているところはよいのだが、盛り上がると声を張り上げすぎてフォーレの淡彩な味わいが失われてしまう。まるで「てっさ」(ふぐさし)にポン酢ではなくトンカツソースをかけて食べているような違和感が残った。

(3)シュトゥッツマンは低めのアルト音域で、低いところはテノールを聴いているようであるが、とても安定している。ベルベットの生地のような心地よさがある。優しい母性につつまれているような感覚である。

(4)ウォーカーの 「優しい歌」はソプラノはふつうというか、あまり魅力は感じられないが、弦楽5部+ピアノの伴奏で室内楽曲としての醍醐味があった。

(5)そして、やっぱりボクにとって帰るところはシュターデである。
シュターデは「オーヴェルーニュの歌」と「フォーレ/月の光[歌曲集]」のLPを「ジャケ買い」して以来のボクにとっての永遠のアイドルである。
元祖「ビジュアル系」「ヒーリング系」「アイドル系」で売り出されたようなところもあるソプラノだが、カラヤンのドビュッシー「ペレアスとメリザンド」の録音、アバドのロッシーニ「シンデレラ」の映像などもあって実力派でもある。「琥珀色のラブリーボイス」がキャッチフレーズであった。
ボクが東京転勤になってから、シュターデの来日リサイタルを東京文化会館のプログラム2晩とも聴き(観に)に行ったことがあった。
細身で美しい人なのでオペラグラスで見とれていたが、大ホール全体にマイクも無いのに柔らかい・優しい歌声が響き渡るのに恍惚とした記憶がある。
シュターデのCDはオペラアリア、ミュージカルなどたいがいのものは入手したが、今はなかなか店頭に置いてないのが寂しい。
シュターデのフォーレは限りなく優しく柔らかくて心地よい。他の女性歌手には希薄な若やいだ女性らしい色香もある。
またコラールのピアノもしっとりとして控えめでよいのだ。
「月の光」「夢のあとで」その他、どれをとっても絶品である。
難を上げれば18曲と収録曲が少ないことであろうか。もっとフォーレをたくさん録音してほしかった。
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