Sophie Milman : Make Someone Happy [ジャズ]

「美人女性ジャズヴォーカリストシリーズ第3弾!」というわけでもないが、先週の阪神尼崎の仕事帰りに梅田のタワレコで、ソフィー・ミルマンの2ndアルバム"Make Someone Happy"を買ってしまった。

ソフィー・ミルマンは1stアルバム"Sophie Milman"も愛聴している。

1stアルバムも美ジャケCDであるが「ジャケ買い」ではなくて、妻がネットの試聴で気に入ったので昨年Amazonで買ったCDである。

ボクはどちらかといと前に記事にも書いたヒラリー・コールの澄んだ美声のほうが好きなのであるが、妻に言わせるとパンチや個性に乏しいらしい。ハスキーだったり、しわがれていて、けっして美声でなくても、むしろインパクトがあってアクが強いくらいのヴォーカルを妻は好んでいる。
だから妻がAmazonの試聴を聴きまくって、女性ジャズヴォーカルではダイアナ・クラールとソフィー・ミルマン、男性ジャズヴォーカルではジェイミー・カラムを見つけてきてCDを聴いている。
ボクはダイアナ・クラールはかなりハスキーながらも大人の女の色気や癒しが感じられて心地よいが、あまり上手いヴォーカルだとは思わない。

その点、ソフィー・ミルマンはダイアナ・クラールほどはハスキーではなく、パワフルで上手い、聴き応えのあるヴォーカルである。

1stアルバムがよかったのでもう1枚聴きたいと思った。店頭で試聴はせずに、ジャケット写真の色っぽい2ndアルバムか、キュートな3rdアルバム"Take Love Easy"か迷った挙句、色っぽいほうを安直に選んでしまった。

1stアルバムは名曲がたくさんあって、イージーリスニング的にも聴きやすいアルバムであった。
2ndアルバムは、ボクの聴き覚えのある曲は1曲もなく、よりジャズ色の強い通好みのアルバムだと思った。聴いていて最初はちょっと敷居が高い気がしたが、聴き慣れてくると味わい深いアルバムだと思った。



  ソフィー・ミルマン:メイク・サムワン・ハッピー
   1. ピープル・ウィル・セイ・ウイアー・イン・ラヴ
   2. サムシング・イン・ジ・エアー・ビトウィーン・
   3. ロケット・ラヴ
   4. ソー・ロング・ユー・フール
   5. マッチメイカー、マッチメイカー
   6. ライク・サムワン・イン・ラヴ
   7. メイク・サムワン・ハッピー
   8. ビーイング・グリーン
   9. レスト(ステイ)
   10. フィーヴァー
   11. アンダン
   12. 春の如く
   13. エリ、エリ(カエサレアへの道)
   14. ステイ(イングリッシュ・ヴァージョン)
   15. セイヴ・ユア・ラヴ・フォ・ミー


ソフィー・ミルマンはユダヤ系ロシア人で、幼少の頃にイスラエルに移って音楽を始めジャズに親しんできた。さらに政情不安から逃れてカナダに移住してきた。若いのに苦労したようだ。
1stアルバムではロシア語やフランス語の歌唱を聴かせていた。
2ndアルバムではフランス語の歌唱を聴かせるほか、ボサノバ調、サンバ調の曲や、ユダヤ的な曲も歌っている。


ボクはスティービー・ワンダー作「ロケット・ラブ」がとくに気に入った。
YouTubeでは、モントリオール・ジャズフェスティヴァルのライヴがアップされていて、CD以上に「凄み」のある歌を聴かせている。


ソフィー・ミルマン「ロケット・ラブ」"ROCKET LOVE"

リチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタインⅡのミュージカルナンバー「春の如く」では、サンバ調のアレンジが面白い。
ちなみに、原曲のイメージ・・・エラ・フィッツジェラルドのしっとりとした歌唱と比べるとまったく別の曲になっている。


ソフィー・ミルマン「春の如く」"IT MIGHT AS WELL BE SPRING"


エラ・フィッツジェラルド「春の如く」"IT MIGHT AS WELL BE SPRING"
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LPレコードをウォークマンで聴く [その他]

中学生の頃から小遣いでレコードを買うようになって、祖父の形見のステレオで聴いていた。
そのステレオもずいぶんとくたびれてきてから、公立高校に受かった約束でダイレクトドライブのそこそこのレコードプレーヤーとアンプを親に買ってもらった。
大学生になってからスピーカーもまともなものを買って、社会人になるまでそのステレオコンポでレコードを聴いていた。

最初は高価だったCDも、ボクが社会人になった頃からLPと同程度の価格で普及し始めた。
CDプレーヤーを買うよりも先にシーア・キング(イギリス室内管のクラリネット奏者)独奏のモーツァルトのクラリネット五重奏曲/協奏曲のCDを買って会社の寮の先輩のCDプレーヤーで聴かせてもらっていた。
自分でヤマハのCDプレーヤーを買ってからは、取り扱いが慎重なレコードから手軽なCDに移ってしまい、すっかりレコードを聴かなくなってしまった。

そのうち高校生の頃に買ってもらったレコードプレーヤーも壊れてしまった。

レコードを聴けなくなってからも、シュターデ、ティボー、フランチェスカッティ、ブーレーズなどのお気に入りのLPのいくつかはCD化されたものを買い直していた。



ガブリエル・フォーレ少年合唱団「フォーレ合唱曲集」

ガブリエル・フォーレ少年合唱団「フォーレ合唱曲集」のように、CDで入手が困難なものがあって、どうしてもそれを聴きたくなって、今から3年前にONKYOのUSBデジタルオーディオプロセッサーSE-U33GXとSONYの廉価のレコードプレーヤーPS-V800を買った。


デジタルオーディオプロセッサーSE-U33GX
レコードプレーヤーPS-V800

このレコードプレーヤーはベルトドライブで、ピックアップも安っぽくて、むかし持っていたプレーヤーに比べると貧相であった。
それでも久しぶりにガブリエル・フォーレ少年合唱団の「ラシーヌ賛歌」を聴いて感激した。
「フォーレ合唱曲集」に関しては以前にブログにも書いた。


プレーヤーのアナログ出力をデジタルオーディオプロセッサーを介して付属のソフトDigiOnSound5 L.E.でパソコンに録音した。


DigiOnSound5 L.E. のウィンドウ

MP3ファイルを作ってみたが60Hzのハム(電源)ノイズが乗っていて、弱音部ではブーンと低周波音が気になった。
しょうがなしにソフトでノイズリダクションしたが、そうするとAMラジオの音のように音像が甘くぼやけてしまった。
他にオリビア・ニュートン=ジョンの「そよ風の誘惑」や「クリアリーラブ」のアルバムも録音してみたが、ノイズリダクションするとクリヤに変換することができなかった。

これが限界かと、そのうちLPレコードのパソコン録音をあきらめてしまった。

それから3年経って、パンゼラのフォーレ「優しい歌」/シューマン「詩人の恋」のLPを無性に聴きたくなってきた。
そしてリトライしてみた。


電源ノイズがAD変換に乗っているということは、

・パソコンからはUSB接続でDC電源供給
・レコードプレーヤーからオーディオピンコードでアナログ入力

のデジタルオーディオプロセッサーにおいて、内部までノイズが乗っているということである。

たぶんDELLのパソコンの電源ノイズが怪しいと思った。
そこで、

・パソコン内部のの何本もある電源出力コードにフェライトコアをはさ
 みまくる
・USBケーブルをフェライトコアに巻きまくる
・オーディオピンコードをフェライトコアに巻きまくる

をいっぺんにやってみた。
結局どれが効いたのかはわからないが、結果としては耳に聞こえるレベルのハムノイズがなくなって、ノイズリダクションしなくてもそこそこの音質で聴けるようになった。


こうして、手始めに

・シャルル・パンゼラ(バリトン)、アルフレッド・コクトー(ピアノ)
 フォーレ「優しい歌」/シューマン「詩人の恋」

のLPをmp3ファイル(128kbps)に録音して、ウォークマンで聴けるようになった。
SP復刻盤LPなのでスクラッチノイズは少なくないが、割とそこそこの音質である。手間ひまかければスクラッチノイズを1つずつリダクションすることもできるようであるが、そこまで面倒なことをする根気はない。

次に

・パスキエ三重奏団
 モーツァルト:ディヴェルティメント K.563

・フリードリッヒ・フックス(クラリネット)
 ウィーン・コンチェルトハウス弦楽四重奏団
 モーツァルト:クラリネット五重奏曲
 ブラームス:クラリネット五重奏曲

・コレギウム・アウレウム合奏団員
 モーツァルト:オーボエ四重奏曲/ホルン五重奏曲

と最高で320kbpsのmp3でパソコン録音してみた。
もちろんトラック割りや余分なところのカットはマニュアルで処理してトラックダウンを進行中である。

近々

・ガブリエル・フォーレ少年合唱団「フォーレ合唱曲集」

も再録音しようと思うし、CDでも入手できるものもあるが

・モウリーン・マクガヴァン「わたしの勲章」

・ギドン・クレーメル
 バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ全曲(旧盤)

・レナード・バーンスタイン指揮 ウィーン・フィル
 ベートーヴェン:交響曲全集

・ダビッド・オイストラフ
 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集

・ミシェル・プラッソン指揮 トゥールズ市立オーケストラ
 フォーレ:管弦楽曲全集

・アンドレ・プレヴィン(ピアノ)
 ウィーン・ムジークフェライン四重奏団
 モーツァルト:ピアノ四重奏曲第1番/第2番

・カザルストリオ
 ベートーヴェン:大公トリオ

等々、お気に入りだったLPを少しずつパソコン録音してウォークマンで聴けるようにする予定である。

たいへん地道で面倒くさい作業ではあるが、少年時代から聴いていたLPを復刻して再び聴ける喜びを味わっている。


ちなみに、ボクがどうしても聴きたかったガブリエル・フォーレ少年合唱団の「ラシーヌ賛歌」がYouTubeでアップされていたのでリンクする(残念ながら音質は悪い)。
この美しさは、ボクには「天上の音楽」としか思えない。


ガブリエル・フォーレ少年合唱団「ラシーヌ賛歌」
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ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」 [協奏曲]

ボクはちゃんと音感教育を受けてきたわけではないので、しっかりとした調性感は持っていない。
でもヴァイオリンを弾くときのウォーミングアップではハ長調の音階練習(ピアノでいう白鍵の音階)と、これから練習する曲の調の音階練習くらいは欠かせないが、どうも「移動ド唱法」的な感覚のままである。

しっかりと音感を磨かれた方は、調ごとに異なった「色」が見えると言われる。ボクにはどうしても理解できない感覚である。
いっぽう調性感を身につけた方で、近代音楽以降の調性が崩れてきたような音楽を受け入れるのに抵抗があると言われる方もいた。ボクは少々の転調や無調っぽいメロディーがあっても聴く分にはさほど抵抗はない。弾くときは臨時記号がいっぱいあると、頭が混乱したりシフティングに戸惑って辟易するが...

しかし、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンあたりの「無調」とか「12音技法」の音楽とよばれるもの、いわゆる「前衛音楽」らしい「現代音楽」はなかなか聴き辛いものがある(それらは21世紀にもなって、もはや「前衛」でも「現代」でもないれっきとした「クラシック」であろうが...)。
メロディーとして耳に入って来ない。青白い音響のように聴こえるのである(そういう面では「色」が見えているのであろうか?)。

オーストリア~ウィーンの作曲家アルバン・ベルク(1885-1935)は、「現代音楽の父」とも言うべきアルノルト・シェーンベルク(1874-1951)の弟子で、同じく弟子だったアントン・ヴェーベルン(1883-1945)とともに「新ウィーン楽派」を築いた作曲家である。
あくまでもボクの主観であるが、ドビュッシー/ラヴェルがモネ/マネらの「印象派」の絵画に喩えられるのに対して、シェーンベルク/ベルク/ウェーベルンはクリムト/シーレらの「ウィーン分離派」に喩えられるように思う。
シェーンベルクの後期ロマン派らしい甘美な部分にクリムト絵画のような「なまめかさ」を感じるとともに、新ウィーン楽派の音楽に退廃的・破滅的な「美」を感じるのである。


http://www.amazon.com/Violin-Concerto-Berg/dp/B00000DNP8/ref=cm_lmf_tit_17[  ベルク&ストラヴィンスキー ヴァイオリン協奏曲
  ・ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」
  ・ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
  ・ラヴェル:ツィガーヌ
    フランク・ペーター・ツィンマーマン(ヴァイオリン)
    ジャンルイジ・ジェルメッティ指揮
    シュトゥットガルト放送交響楽団]


モーツァルトのヴァイリンソナタの鮮烈な演奏を聴いて以来、ドイツの中堅ヴァイオリニスト~フランク・ペーター・ツィンマーマンが好きである。
その流れで10数年前に買った「ベルク&ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲」のCDであるが、そのときはまだベルクの音楽には馴染めなかった。ストラヴィンスキーもバレエ音楽三部作と「プルチネルラ」は聴いていたが、それ以外は受け付けなかったので、聴きなおすことのないCDであった。

最近はブーレーズでモーツァルトの「13管楽器のセレナーデ」とカップリングされたベルクの「ピアノ、ヴァイオリンと13管楽器のための室内協奏曲」のCDを聴くようになったり、ドビュッシーやラヴェルの管弦楽曲全集を聴いていると少しばかり無調のメロディーが出てきて、そういうものに馴染んできたようである。
それで、このCDも久しぶりにウォーキングの「ながら」で聴いているとけっこう耳にすんなり入って来た。

このCDはベルク-ストラヴィンスキー-ラヴェルと聴き進むにつれて聴きやすく馴染みやすくなる。
ベルクのインパクトがいちばん強いが、逆の順番で聴いたほうがベルクもより聴きやすいようである。

ベルクのヴァイオリン協奏曲(1935年)には「ある天使の思い出に」と副題がついている。マーラーの未亡人であったアルマ・マーラーが再婚後に生んだ娘・・・18歳のマノン・グロビウスが小児麻痺で亡くなり、これを悲しんで着手したといわれる。

第1楽章(Andante、Allegretto)冒頭は、ヴァイオリンの開放弦4弦による(G-D-A-E-E-A-D-G、ソ-レ-ラ-ミ-ミ-ラ-レ-ソ)のアルペジオをテーマに穏やかに始まるが、その後の展開でも常に悲しみ・不安に包まれた暗い雰囲気である。ときおり現れる伴奏音形が美しい。
わかりやすいメロディーはないので、この先どう展開するかわからないまま粛々と音楽が進んでいく。
独奏ヴァイオリンはとらえどころのないメロディーではあるが、ツィンマーマンのヴァイオリンの音色が美しく、その背後で断片的にオーケストラが激しく盛り上がったり、美しく響いている。

第2楽章(Allegro、Adagio)は、Allegroで激しいオーケストラ全奏で始まった直後に、ヴァイオリンの苦痛に歪んだような、うめき声のような演奏が続く。後半はAdagioにテンポを落としてけだるい曲想が続くが、徐々に晴れ間が広がってきたような清涼な響きになり、フィナーレはアルペジオで上昇した後の長々と続く終止音のロングトーンで安らかに終わる。


≪YouTube動画≫

フランク・ペーター・ツィンマーマン(ヴァイオリン)
アラン・ギルバート指揮 NHK交響楽団
ベルク:ヴァイオリン協奏曲


第1楽章(1/2)


第1楽章(2/2)


第2楽章(1/2)


第2楽章(2/2)


こちらを好まれる方もいるだろう...

諏訪内晶子(ヴァイオリン)
ピエール・ブーレーズ指揮 
グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ
ベルク:ヴァイオリン協奏曲


第1楽章


第2楽章(1/2)


第2楽章(2/2)
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